PPPD (持続性知覚性姿勢誘発めまい)
ふわふわした不安定感が長く続くにもかかわらず、検査では「正常」といわれるめまい疾患の一つです。
したがって、診断根拠は主に症状経過ということになります。
以下のアンケート項目に多く、強く、あてはまる場合はPPPDの可能性があります。
表1 「あなたのめまい症状は、次のようなことで悪化しますか?」
1 急に立ち上がる、急に振り向くなど、急な動作をする。
2 スーパーやホームセンターなどの陳列棚を見る。
3 普段通りに、自分のペースで歩く。
4 TVや映画などで、激しい動きのある画像を見る。
5 車、バス、電車などの乗り物に乗る。
6 丸椅子など、背もたれやひじ掛けのない椅子に座った状態を保つ。
7 何も支えなく、立ったままの状態を保つ。
8 パソコンやスマートフォンのスクロール画面を見る。
9 家事など、軽い運動や身体を動かす作業をする。
10 本や新聞などの細かい文字を見る。
11 比較的速い速度で、大股で歩く。
12 エレベーターやエスカレーターに乗る。 NPQ (Niigata PPPD Questionnaire)
アンケートに当てはまる方はめまいの検査を受けていただき、良性発作性頭位めまいやメニエル病などに見られるような異常所見が何も見つからなければ上の診断基準にあてはまることになり、PPPDの可能性が高いということになります。
逆に、何か異常が見つかればめまいの原因はPPPDではなく、その異常を説明できる病態が考えられます。
当院の検査機器は感度が高く、多くの方に何らかの異常所見が確認され、PPPDの治療とオーバーラップすることもありますが、検査結果に則した治療を優先することが多い状況です。
※ めまい疾患はほぼ必ず眼球偏倚や眼振などの、客観的に捉えられる指標があります。「検査で正常」とはこれらの指標が見つからない状況かと考えられますので、「検査機器が無いか、あっても精度が低い」「検査結果を読む医師の知識や経験が浅い」「そもそも検査をしない」ような医療施設ほど同じ症状でPPPDと診断される可能性は高くなります。よその施設でPPPDとして抗うつ剤等を処方されていた方に、検査後に別の治療をお勧めすることがあれば、それは当院が客観的な指標を感情よりも優先しているからとお考えください。