副鼻腔炎
内容
鼻や副鼻腔からの分泌物の排除が滞って粘度の高い液体が貯留した状態です。川の流れと同じで、よどんだ流れには微生物や細菌が繁殖しやすくなります。必ずしも「感染が原因」とはいえません。むしろ「感染は流れがよどんだ結果」かも知れません。これが慢性化したものはいわゆる「蓄膿症」ともいわれ、慢性的に副鼻腔に膿がたまる病気です。
副鼻腔とは前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形骨洞の4つを示し、副鼻腔炎はこの副鼻腔に炎症を起こした状態で、しばしば膿が溜まる病気です。
こんな症状の場合は注意!
- 黄色い鼻水がたまる
- 咳がつづく
- 鼻が詰まっている
- 頭痛がある
- 顔面がいたい
- 耳が痛い
上記の症状だけでは区別がつきにくく、「花粉症」や「風邪」と間違えるケースもある。
鼻水 | くしゃみ | かゆみ | 発熱 | |
蓄膿症 | ドロッとしている | △ | × | △ |
花粉症 | さらっとしている | 〇 | 〇 | × |
風邪 | さらっとしている | △ | × | △ |
急性副鼻腔炎
内容
原因としてはカゼ、花粉症、アレルギー性鼻炎、プールの水、大気汚染物質、等による粘膜の障害や、特殊なものとして虫歯や腫瘍などが挙げられます。副鼻腔(鼻の周囲、頬・眼・おでこの奥にある骨で囲まれた空洞で、鼻の穴とつながっています。)の炎症のことで、副鼻腔の粘膜が腫れたり、副鼻腔の空洞に膿がたまります。
症状
- 鼻づまり
- 頭痛
- 顔面痛
- 顔面のはれ
- ほおの圧迫感や違和感
最初はかぜのような症状でサラサラとした鼻水ですが、次第に膿性の悪臭を伴う黄色の鼻汁に変わってきます。この鼻汁がのどにおちてくる場合(後鼻漏)もあり、飲み込んでも大丈夫ですが、肺に吸い込まないようにしなくてはなりません。
片方の鼻で発症するケースはあまりなく、両側の鼻で発症するのが大半です。
高熱を伴うことは少ないですが、発症した場合は頭蓋内合併症を患っている場合もあります。稀に副鼻腔の炎症が目や脳に進むことで、まぶたが腫れたり、視力が落ち、強い頭痛や意識障害がでることもあります。
治療法
- 鼻処置・副鼻腔処置
- ネブライザー処置
- 化学療法(抗生物質・消炎剤の内服)
などが挙げられていますが、治療のキーワードは「排膿」「換気」です。
そのあとに、「消炎」「抗菌」と続きます。ですから、鼻汁を鼻の一番奥まで吸引することが基本の治療です。
注意していただきたいこと
そもそもは排膿障害(鼻水が出にくくて困る状態)で起きている病態ですので、カゼや花粉症やアレルギー性鼻炎という鼻水が出すぎて困る状態に続いて起きている場合、その治療には注意を払う必要があります。歯の炎症の場合は歯科での治療も併せて必要となります。
急性副鼻腔炎の治療の決定にはレントゲン所見は参考資料の一つにすぎません。
慢性副鼻腔炎
内容
慢性副鼻腔炎は急性副鼻腔炎が慢性化したことにより患うことが大多数です。医師の診断の下、急性副鼻腔炎の症状が2~3か月続いた場合、慢性副鼻腔炎と診断されることがあるようです。。
炎症が続くことにより、副鼻腔の粘膜の腫れや副鼻腔にたまった膿が遷延化します。また、中には鼻茸(はなたけ=鼻ポリープ)ができることがあります。
症状
- 鼻汁が絶えない
- 咳が続く
- いびきをかく
- 匂いがわからない
- 頭痛がする
- 集中力の低下
といった症状がみられ、これらの症状に中耳炎の併発、のどに下がる鼻汁のために慢性咽頭炎や慢性気管支炎の発症も見られます。
治療法
慢性副鼻腔炎の治療も基本は「排膿」と「換気」です。内服薬だけの数回の外来治療で治すことは難しく、治療期間は長くなります。
治るまでの期間は個人差が大きく、予測が困難な事が多いです。
(特に鼻茸が存在する場合は、手術が必要になることが多いです。手術もその目的は「排膿」と「換気」です。)