★隠れめまいに注意!
難聴で受診された患者さん、立ち振る舞いに気になるところがあり、
重心動揺計での身体のバランスを測定。
内耳の障害でバランスが悪い可能性のある結果に。
あらためて眼振検査を実施してみると、内耳の平衡機能障害が明らかに。
聞いてみると、かなり以前に何度かめまいを経験したが今は治っていると。
前庭神経炎(一側の内耳障害のめまいの代表的疾患)は機能が回復しなくても、
脳による代償作用で時間の経過とともに症状は軽快します。
「いただいた薬で治った」という勘違いは時に危険です。
代償作用が働いても動的平衡障害は完全には代償されず、
頭や体を動かした時のめまいやふらつきが残る人も多くいらっしゃいます。
耳のバランス機能が低下していても、
視覚や体性感覚がそれを補って自覚症状がはっきり出て来ないのです。
特に高齢者であれば転倒の危険性が高まり、
大腿骨の骨折が起きれば寝たきりになる人もあります。
治療は、代償を促進する前庭リハビリが有効で、
特に体性感覚入力が重要であると言われます。そのため、
なるべく早い時期に離床し、積極的に動き回ることがすすめられています。
また、投薬が治癒過程を遅らせる可能性についての報告があります。
隠れめまい患者さんを早期に発見し、障害を正しく評価して、
頭位治療や前庭リハビリ等の正しい治療に結び付け、
骨折等の、次に来る障害を未然に防ぐ診療を積極的に行っています。