急性中耳炎
内容
耳と鼻をつなぐ耳管を通して、細菌やウィルスが中耳に入り、炎症が起こります。さらに、進行がすすむと炎症により鼓膜が破れ、鼓膜の奥に溜まっていた膿が流れでてきます。
この状態を耳漏(みみだれ)といいます。
気をつけてください!
- 鼻水を出している乳幼児が熱を出している場合
- 乳児が耳を触るような動作を繰り返している
- 乳幼児の場合、保護者が気づかないケースが多い
大人の場合は重症化するケースは少ないですが、小さいお子様(特に0~2歳のお子様)は何度も再発し、重症化するケースがよく見られます。
症状
おもな症状は下記5つが挙げられます。
①発熱 鼻水 咳
②耳の痛み
③耳の異常(難聴・耳がつまった感じ・耳の中で音がする)
④耳漏
⑤めまい
小さなお子さんでは、39℃~40℃まで熱が上がることもあり、泣きやまない、耳をよく触る、不機嫌になった場合は急性中耳炎になっているおそれがありますので注意しましょう。実際に、「なかなか下がらない発熱」で発見されることが多く、特に耳の痛みを訴えられない乳児に関しては、発熱を原因として小児科から耳鼻科へ紹介されるケースが多くあります。痛みの訴えに気づかれない場合には、炎症が進んで耳漏がでてから異常に気づくこともあります。しかし、適切な治療を行えば一時的なもので済み、破れた鼓膜も自然にふさがります。
治療方法
当院では中耳炎診療ガイドラインを参考にした診療を行っております。
患者様の状況によって診療手法は様々です。
・年齢
・臨床症状・・・全身状態・耳の痛み・発熱・啼泣・機嫌
・鼓膜所見・・・赤み・腫れ具合・耳漏・透明度
おもな観点は上記の3つですが、①鼻の処置(これが基本で最も重要)②投薬③耳処置を中心に行います。
但し、患者様の状況によっては鼓膜を切開して排膿する必要があります。鼓膜切開に関しては保護者様に説明し同意が得られる場合に実施致しています。お子様の大事な身体ですので、そのような場合には是非とも同意いただけますように、お願い致します。
※小児の急性中耳炎の治療が長引くと、滲出性中耳炎もしくは慢性中耳炎になる可能性があります。この疾患はどちらとも治療に時間を要します。また、滲出性中耳炎はしっかり治療すれば完治しますが、慢性中耳炎は状況によっては一生完治しないケースもあります。
そのため、必ず急性中耳炎を完治させてください。
滲出性中耳炎
内容
滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)とは耳管の機能が低下した状態(?)(私は機能低下しているとは考えていません)で、中耳に液体がたまった疾患といわれます。急性中耳炎が治り損ねた状態だと説明する専門誌もあります。液体を調べてもバイ菌は検出されないのが普通ですので抗生物質の効果は疑問(理屈上では無効)です。
また耳管の働きに悪影響を与える可能性のある以下のような病気は滲出性中耳炎につながる可能性があります。
- 急性副鼻腔炎
- 慢性副鼻腔炎(ちくのう症)
- 急性咽喉頭炎
- かぜ
- アレルギー性鼻炎
- アデノイド
症状
滲出性中耳炎で症状は下記の4点です。
①難聴
②耳がつまった感じ(耳閉感)
③耳鳴り
④自分の声が耳に響く(自声強調)
滲出性中耳炎は痛みや発熱を伴うことはあまりありません。
お子様のお耳が痛くないから・・・要注意!
大人の場合は滲出液が溜まっていることが自覚でき、病気を自分で発見できますが、お子様自身が発見するケースはまれです。そのため、以下のように難聴を疑わせる行動が目立つ場合は滲出性中耳炎の可能性を疑った方がよろしいでしょう。
①テレビの音を大きくする
②音源に耳を近づける
③呼んでもふりむかない
④電話でのおしゃべりができない
⑤耳がふさがった感じがすると言う
鼻炎や風邪が長引いた時も滲出性中耳炎に注意する必要があります。また、放置してしまうと将来、鼓膜が中耳腔の壁にくっついてしまう癒着性中耳炎や、真珠腫性中耳炎という中耳炎に移行し、これらの中耳炎では将来手術をしても完治しない状況になることがあります。
お子様のお耳が痛くないから・・・要注意!
大人の場合は滲出液が溜まっていることが自覚でき、病気を自分で発見できますが、お子様自身が発見するケースはまれです。そのため、以下のような行動が目立つ場合は滲出性中耳炎の可能性を疑った方がよろしいでしょう。
- テレビの音を大きくする
- 音源に耳を近づけるなど
- 呼んでもふりむかない
- 電話でのおしゃべりができない
- 耳がふさがった感じがすると言う
鼻炎や風邪が長引いた時も滲出性中耳炎に注意する必要があります。また、放置してしまうと将来、鼓膜が中耳腔の壁にくっついてしまう癒着性中耳炎や、真珠腫性中耳炎という中耳炎に移行し、これらの中耳炎では将来手術を受けても治らないことがあります。
治療方法
①鼻の吸引処置(奥の耳管開口部付近までキレイにすることが重要)
②耳管処置
③投薬療法
④鼓室チューブ留置術
上記4つを中心に行います。
滲出液や鼓膜の状況によっては鼓膜チューブ挿入術をする場合もあります。鼓膜チューブ挿入術に関しては年齢等の条件によっては全身麻酔を要する場合もありますので、当院では実施できない場合があります。
いずれにしても治療が長期にわたる場合が多く、定期的な通院が必要です。
定期的な通院を回避することを目的とした鼓室チューブ留置術には賛成していません。
チューブは鼓膜にダメージを与えますし、チューブが効いている間に原因となった鼻やのどの治療をしておく必要があるからです。
慢性中耳炎
内容
即頭骨の乳様突起と呼ばれる部分の炎症(これが中耳炎の本体)が慢性化したものです。中耳炎が完治しないで、鼓膜に穴が開いた状態(鼓膜穿孔)が永く続いた状態や穴はふさがってはいても鼓膜の再生が不完全になっている状態が多く見られます。
慢性中耳炎の大半のケースは、急性中耳炎が完治されないままで放置された結果起こるものです。
痛みは感じないケースが多く、あってもそれほど強くありませんが、化膿がひどくなると痛みが強くなります。
通常、難聴があり中耳炎の進行とともに際限なく悪化します。
症状
慢性中耳炎の方は鼓膜が常に穴が開いた状態になり、難聴や耳漏が特徴的です。
慢性中耳炎の中には、耳だれが絶えず出ているものから、ほとんど自覚しない程度のものまで様々あります。耳漏は中耳炎が進行中であるサインと受け止め、少なくとも耳漏が停止するまでは治療を受けて下さい。ただ、症状が進行していると手術を検討しなければならないような状態に発展します。この場合、手術で耳漏は停止しても難聴の回復は望めないケースが多く、進行させないようにすることが大切です。
※症状によっては耳漏がない場合もあります。※
治療方法
慢性化の原因をまず明らかにします。
その上で耳漏を抑えるための保存的治療を行います。保存的治療には①耳処置(耳漏の吸引除去)②投薬③耳管処置を行います。
経過を見ながら、必要と判断した場合には、患者様と相談した上で他病院に紹介して、手術を受けていただく場合もあります。手術は通常全身麻酔が必要で、入院期間は最低でも2週間、通常は一ヶ月程度です。