★前庭リハビリについて説明します
このような基本運動に応用問題を加えて元気なからだをつくりましょう。
☆前庭代償
前庭障害が起きた場合、脳幹小脳に代表される中枢神経によって、
アンバランスな状態を緩和する作用が始まります。
この作用を前庭代償と言い、人にはもともと備わっている作用です。
突然に前庭障害が起きて、激しいめまい発作が起きても
時間の経過とともに自然に治まるのはこのためです。
この時間の経過の間に、元々の前庭障害が治癒すれば良いのですが、
治癒しないで、前庭代償によって症状が目立ちにくくなっているだけの例が多くあります。
前庭リハビリはこれ等の代償作用を効率よく引き出すために行います。
☆適応
前庭障害が起きると前庭眼反射と呼ばれる、
身体や頭部が揺れても、安定した視野を確保する機能に障害が起きます。
視線を固定した状態で頭部を動かす運動を行うことは、
この機能障害に適応する代償を促すことになります。
☆慣れ
人間の大脳や脳幹には感覚を記憶し、弁別し、対処する回路があるようです。
前庭障害によるめまいの感覚にもあてはまるようで、
めまいが起きるきっかけになる刺激に繰り返し暴露することで、
その反応の長期的な低下が見込めます。
慢性的、かつ動きにより誘発されるめまい患者さんには、
この慣れの訓練を取り入れた前庭リハビリが有効です。
☆代用
別稿にありますように、人間の平衡機能は、前庭覚、視覚、体性感覚の3つを入力とし、
それらを小脳脳幹等の中枢が統合することで保たれています。
前庭覚の障害が永続的で、かつ高度である場合には、
他の感覚で前庭覚をカバー出来る訓練を行い、
また、道具等を使うこともあります。
立位保持が難しい人は杖をつくと安定性が増します。
杖で体重の一部を支える効果もありますが、
近くにあるテーブルに軽く触れているだけでも安定性が増す場合があります。
体性感覚情報が加わったことで、姿勢制御の精度が向上すると考えられます。
薬が治癒過程を遅らせてしまう可能性についての報告もあります。
薬好きで薬が治療のすべてと思っている日本人の感情には合わない議論ですが、冷静に考えましょう。