「めまい」の時の感覚異常はこのようになっているのです
ヒトの平衡感覚は、前庭感覚と呼ばれる耳からの感覚、眼からの視覚情報、体性感覚と呼ばれる足などの筋肉や腱からの感覚と、それらを統合する脳(中枢神経系)によって成り立っています。そしてこれらの情報を頸や手足の筋肉に伝えることで筋肉の力で立つことができるのです。脳内でこれらの感覚間のミスマッチや統合異常が生じると、我々はめまいという感覚が生じます。
めまい症状は、自身は静止しているにもかかわらず、まわりの景色が動いて見える異常症状です。回転したり揺れ動いたりして見えます。「動いて見える」ということは、目が動いているということです。自分の意思で目を動かしているのではなく、何者かが勝手に目を動かしているのです。この異常な目の動き(眼振)を客観的に把握することが、患者さんに何が起きているのかを把握するのに重要です。
めまいのタイプ?(種類、分類)
めまいを「中枢性めまい」と「末梢性めまい」に分類することがあります。
中枢性めまいとは脳に原因があるめまいです
突然めまいがすると多くの人が脳の病気、特に脳卒中になったのではないかとパニックに陥ります。めまいについてある程度知っている医療関係者でも突然激しいめまいが起きたらやはり脳卒中を心配するでしょう。
小脳障害や脳幹障害、聴神経腫瘍については特に念入りに検査し、場合によってはMRI検査を併用することがあります。
脳卒中によるめまいは「中枢性めまい」です。中枢性めまいにいち早く気づくことができれば、血栓溶解療法等のごく早期に限られた治療を受けられる可能性も高くなります。したがって、めまい患者さんが救急搬送される場合は搬送先は脳卒中に緊急対応できる施設が望ましいのであって、一般の耳鼻科ではありません。
脳卒中が原因でめまい症状が出た「中枢性めまい」の患者さんには、めまい以外にも脳卒中の症状が出ているのが普通と考えられます。
これに対して「末梢性めまい」の患者さんにはめまい以外の症状が無いのが普通です。
末梢性めまいとは脳以外に原因があるめまいです
しかし、めまい患者さんの大多数は、脳ではなく耳に原因のある「末梢性めまい」の患者さんです。おもな疾患は下記の3つです。
他に、中耳炎(特に真珠腫)、耳帯状疱疹、外リンパ瘻、上半規管裂隙症候群、等もめまいを起こす末梢前庭疾患として知られています。