めまいの検査
めまいが起きている患者さんには異常な眼球運動が見られますが、「末梢性めまい」の患者さんにはめまい以外の症状が無いのが普通です。この場合、唯一他覚的にとらえられる「眼振」が極めて重要な観察ポイントになります。それゆえ、めまい患者さんに対して眼振所見を見ないで診療を行えば、しばしば場当たり的な対応にならざるを得ません。「CTやMRI等の画像検査」は脳出血や脳梗塞を診断するのには有効なのですが、最も頻度の高い末梢性めまいの診断にはほとんど役に立ちません。
末梢性めまいは視覚などの他の感覚によって代償、補正が効きますので眼振もすぐに目立たなくなってしまいます。したがって、眼振の観察には視覚による代償を除外するために患者さんが何も見ていない状態、すなわち赤外線カメラ等を使って暗所で観察するのが最も勧められます。
当院ではこの検査に赤外線CCDカメラを備えて暗所開眼下の検査ができるゴーグルを使用し、且つその時の眼球運動をコンピュータで解析できる装置を用いて、MRIには所見が現れていないような中枢性めまい患者さんに現れるような異常眼球運動も観察できるようになっています。
また、能動的に眼球を動かす脳の神経経路の状態を観察することで中枢性めまいの発見にも注力しています。
視運動性眼振(OKN)検査風景
このゴーグルはV-HIT検査の専用ゴーグルです。スリップすると正確な結果が得られないので少し眼に食い込む位に装着する必要があります。下図は左前庭神経障害の図です。
当院ではめまい発作からある程度時間が経過していても、検査機器が揃っていますので正しい診断が可能です。
他院で、「めまいは症状がある時でないと診断ができない」と言われて来院された方も多く、検査を急がれますが当院ではそれは当てはまりません。
発作直後の吐き気の強いなかで無理をするよりも、後日にキチンと検査をして正しい診断をすることが、正しい治療と早期の回復につながります。