コロナ禍での学校健診について

耳鼻科の学校健診の対象になる疾患は全て慢性疾患です。にもかかわらず、蔓延防止法や緊急事態宣言下ですでに始まっているところがあるようです。ワクチン接種の現場で担当医が未接種であることが問題視されている報道がありますが、マスクを外した子供たちと正面向き合って至近距離で鼻やのどを観察する健診行為の方がワクチン行為の何倍も危険と思われます。学校にウィルスを持ち込んで拡げたり、学校から持ち出して拡がったりしたら大問題。昨年は一斉休校措置がとられ早いところでは6月頃から始まった所があるようですが、病院や診療所でも安全確保の見地から業務に制限があり、例年とおりの手法で健診を実施することは危険と考えて、安全が確保できるまで延期するか、より安全な方法に変更して実施するかを考慮し、6月上旬に担当校とも相談しました。期限について文科省は昨年と同様に、今年6月を来年3月としました。神戸市では昨年これを12月としました。この期限や方法を考慮していることに対して医師会等は、年末近くまで模様眺めして、もし年末にとんでもない感染拡大が起きても(実際に起きました)従来の規則とおりに実施するように言われました。行政からお金が出ているから実施しないといけないとおっしゃった方もいらっしゃいます。

 第4波で大変な状況になっている現況下で、感染拡大防止のリーダーであるべき医師会の偉い方々が市民の命と健康を守るよりも従来の規則と報酬を守る立場をとられていれば、危機感が市民に浸透しにくくなると思います。

 2月に2度目の緊急事態宣言中に、窓のない部屋での3歳児健診が行われ、出務してマスクをしない子供たちと至近距離に接して来ました。大勢の方が来られていました。一般民衆にはイベントの自粛や延期を呼びかけている最中に行政と医師会がこのようなイベントを実施します。ワクチン接種は急ぐべきイベントかと思いますが急ぐ必要に乏しいイベントは医師会が率先して指導し、必要なら規則の改訂も働きかけるべきです。

 このような行動は末端の医師会員や公務員が言っても無駄で、多くの一般の人々の声があって実現するものと思っています。勿論、一部の有力者の賛同が得られれば鶴の一声なのでしょうが…..。